隣国フランスとパリへの思いと葛藤

スイスに住んで半年以上過ぎました。バーゼル市街付近に住んでいると隣国フランスとドイツへの国境までは10kmほど、 車で15分ほどで国境のゲートにたどり着きます。高速道路のゲートは日本のETC料金所のようで 最徐行ですが止まることなく、パスポートの提示などもなくフランスに入国できます。一般道は もっと簡素で、駐車場の入り口のような感じで国境警備の人がいないことも多いです。
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EU圏(正確にはシェンゲン協定圏かもしれないですが)に住むと 1つの国という単位の考え方が日本で生活していたときと違うため、不思議な感覚を持ちます。 こちらに住んでから、パリへは3度行きました。今では息子のお気に入りの電車TGVに乗り、 バーゼルから3時間と数分でパリ東部12区のリヨン駅(Gare de Lyon)に到着します。 12区はパリの東端、セーヌ川上流に位置し、ここからメトロやバスでセーヌ川沿いに西に下ると ルーブル美術館、凱旋門、ちょっと左手にエッフェル塔が見えてきます。セーヌ川中央にかかる橋の欄干や 鉄塔はそれぞれが違うように作られています。歴史的建造物に限らず、いつか訪れるチャンスがあれば 早起きしてセーヌ川周辺のランニング&ウォッチングを是非おすすめします。。。 f:id:toolyee:20151118191455j:plain

パリを訪れた3度のうち1度はパリ郊外のディズニーランドにも行きました。 国をまたいではいますが、幼いころに住んでいた大阪から東京に行くような感覚です。 話し言葉、ものの名前、案内標識、道路標識、すべて変わりますが、とても身近な存在です。

それが今は、国境封鎖、厳密には完全に閉じられてはいない国境もありますが、 警備が非常に厳しくなっています。先週金曜の事件は、衝撃的すぎて最初は信じられませんでした。 加えて、国家の非常事態宣言、国境の封鎖。
バーゼルにはフランスから働きに来ている人、 フランス出身の人、パリに親族がいる人なんていくらでもいます。息子の先生はフランス出身、 妻の親しい同僚の奥さんはパリに兄弟がいると言っていた。主夫仲間もフランス出身者がいる。 身近な人が被害者かもしれない、というのは気持ちをとても重くします。 聞くに聞けないものの、そのかもしれない、は一部現実のものがあるようだと分かったりしています。

今週木曜と金曜はインターナショナルスクールではサンクスギビングの休日となります。 年後半に大型連休が無いヨーロッパでは、厳しい冬の前に秋を楽しむ最後のチャンスでした。 来年帰国予定の我が家も弾丸でロンドンに出かける予定でしたが、悩んだ末中止にしました。 なんかテロの思うつぼの行動をとっているようで悔しいのですが、当面は大都市の繁華街に 出向くことを控えようかと妻と話しています。僕はわりと楽観的なほうです。けれど、 最近行った場所で無差別の銃撃があった、というのは悲観的な妄想を煽る現実があります。

パリには美容やファッション、食に関する仕事、あるいは関心を寄せる多くの人が特別な思いを持つ場所ではないでしょうか。 日本人だと新婚旅行や各種のお祝い旅行のツアーも多いと思うので、良い思い出が残る場所でもあると思います。 ヨーロッパに住んでいるに限らず、パリには多くの人の特別な思いが集まっていると思います。 一部、商業的意図ゆえの動きもあるのかも、しれないのですが、多くのwebサイトが追悼の意を表しました。 f:id:toolyee:20151118191616j:plain

ここ数日、BBCのテレビかアプリをしょっちゅう見るようになっています。アプリでも動画と記事がセット なので、けっこう衝撃的な映像を良くみるようになってしまいました。ご存知のように、パリの事件だけでなく、 前日には中東のパリと呼ばれるレバノンの首都ベイルートで40人以上が死亡する自爆テロが起き、 ISの本拠地シリアやイラクではそれ以上にテロによる死亡者がいます。加えて、フランスやロシアはすでに シリアのIS拠点への空爆を強めています。そこに民間人もいることは想像に難くありません。 何かが解決するとは思えない報復の繰り返しという事実を肌で感じています。

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